昭和4年の愛知県岡崎。8歳の有森桜子(美山加恋)は、八丁味噌の蔵元でかくれんぼをしている最中驚かされ味噌桶に落ちてしまう。お転婆なのは母親がいないからだと心配する周囲の人々は、桜子の父・源一郎(三浦友和)に見合い話を持ち込む。
それに反発した桜子は、見合い相手にいたずらをして、逃げ込んだ祖父・沖田徳治郎(八名信夫)の家の納屋で亡き母・マサ(竹下景子)の形見のオルガンを発見する。いつも紙の鍵盤をピアノ代わりにして遊ぶ毎日だった桜子はマサのオルガンが欲しいと徳治郎にせがむが、徳治郎は亡き娘の形見のオルガンを渡すわけにはいかないと突っぱねる。
これに思案した有森家の面々は、桜子の生まれて初めての演奏会を企画。桜子の弾く姿がマサに重なって見えた徳治郎は桜子の願いをついに聞き入れる。そして、8年後の昭和12年。16歳(女学校の5年生)になった桜子(宮崎あおい)は、親友から頼まれた恋文を松井達彦(福士誠治)に渡すが、それが担任の先生に見つかってしまい問い詰められる。折しも、その日は桜子が前々から楽しみにしていた西園寺公麿(長谷川初範)による演奏会の日だった。