西園寺によるピアノレッスン初日。桜子は西園寺のレッスン生で今年、音楽学校に合格したるり子から、貧乏人は音楽家にはなれないと罵倒される。そんな折、笛子から、父の1周忌に帰ってこなくていいと言う手紙も届き、桜子は大きなショックを受ける。屈辱を噛み締めながら、ピアノの練習に打ち込む桜子を、杉冬吾がダンスホールに連れ出す。
そこで、音楽学校受験の日に見たサックス奏者・秋山を見つける。桜子は生まれて初めて生のジャズバンドの演奏を耳にする。またそこでは、ダンサー・マリの踊る姿も目の当たりにする。しかし、マリは落ちぶれている自分に嫌気がさし、ダンサーを辞めて、ある男の愛人になろうか迷っているというのだ。桜子はそんなマリを何とか元気づけようとするが、逆に反感を買ってしまう。
家族の愛情を実感できずに育ったマリは、家族に愛されて育った桜子が疎ましい。そんな折、達彦がマロニエ荘に引っ越してきて、桜子の世話を何かと焼こうとする。やがてマリがダンスホールを辞めることが決まり、桜子たちは彼女に最後の花道を飾ってあげようとする。それに感激したマリは、愛人になることをやめ、マロニエ荘に戻ろうと考える。