昭和18年3月。「山長」で働く桜子の元に、東京で妊娠中の笛子を助けてやってほしいという手紙が杏子から来る。桜子はかねに暇をもらって東京へ。ところが笛子たちが住むマロニエ荘では、冬吾やヤスジたちに加え、食に飢えている新たな画家仲間が出入りし、笛子は自分の食べ物まで彼らに分け与える始末。
そして笛子のお産も始まって桜子は慌てるが、磯が岡崎から駆けつけて来て、なんとか子供は生まれる。そんな折、新美術協会で開こうとしていた展覧会に出す絵の特高による査察が行われ、まだ二十歳に満たない和之の絵がはねられる。
桜子は、和之が実は磯が生んだ息子だと知る。磯の元・愛人で和之の父である周助は、和之が画家をやめれば、有力者に展覧会を開催させることをお願いしてもいいと言う。冬吾たちは和之を見殺しにしないよう妥協案を見出し、桜子は周助に和之の絵を見に来るよう働きかける。展覧会当日。桜子は磯、和之、周助の心のつながりを見るが、やがて展覧会は中止に・・・